「はぁぁ〜」
大きなため息をついた
純ちゃんがやっと帰ってきたというのに殺人的なスケジュールで会えない
２ｃｈでは「純ちゃんの予定が過密すぎて死んじゃう」って書いてあって本当にE島は何をしてるんだろうと思ってしまう
「僕が純ちゃんの秘書だったらこんなに予定を入れないのに・・・・日曜日は歌舞伎かオペラの鑑賞して・・・」
頬を膨らませつぶやく
「はぁぁ〜」
また大きなため息
最近ため息ばっか・・・・
純ちゃんに会いたいなぁ
日が昇れば純ちゃんの生放送・・・・そして神戸の土地を踏んでいる
神戸か・・・・

純一郎は自室でパジャマに着替え、眠る前のひとときを音楽と少量のブランデーとともに過ごしていた。
「はっきり言って、自分は疲れている。働き過ぎだ。
女性ともうどのくらい肌を合わせてないだろう・・。
しかし、なぜか欲求不満は感じない。どうしてだろうか。」
純一郎はわかっていた。行く先々で自分に群がる聴衆。
演説を始めると「うぉ〜！」「きゃぁ〜！」という悲鳴。
これ以上のエクスタシーがあるだろうか・・。
私はもはや一人の女性に縛られてはいけない身なのだ。

自分が選曲したプレスリーのＣＤを聴きながら、ふと寂しさに浸る純一郎であった。

「頭は・・・・ライオンだけど・・・・胴体は・・・象さんだっ・・象さ・・ん」
（もういい・・・もういいよ・・・言うなよ、それ以上・・・ぽっぽ・・・！）
（おまえまで・・俺を・・・。そんな目で見ないでくれ・・・そんな目で・・・！）
「純ちゃん・・・こっちへ・・・おいでよ」
差し伸べられた手が、純一郎を招いて揺れている。
その手を掴んで引き寄せたい。
「純ちゃん・・・間違っているものは・・・はっきり・・・間ちがっ・・て・・」
ぽっぽの瞳から涙がこぼれ落ちた。
（バカだなぁ・・・泣くなよ・・・ぽっぽ）
その涙を拭おうと右手を伸ばした、が何者かの手が伸びてそれを遮ってしまった。
「誰だ？じゃましないでくれ。あいつが泣いているんだよ・・・俺が・・・
俺が・・・涙を・・・拭いてやらなきゃ・・・俺じゃなくちゃ、だめなんだ・・・」
純一郎は身悶えた。
叫びたかった。だが声にならない。
苦しかった。
その苦しみから逃れようと、もがき続けた。
「総理・・・、そ・・う・・・・・・・り」

（飯島・・・・？私は夢を見ていたのか？）

選挙演説に向かう車の中でのつかの間の浅い眠り。
純一郎は悪夢をみたのだった。

自室のソファに深く身を沈め、ぽっぽは泣いていた。

もう、何をどうすればいいか分からなかった。
「僕と一緒にやるって言ったじゃないか!?」
こっちを見つめた彼の目！
美しかった。そして悲壮だった。
燃え尽きる炎が最後に放つ光のように、無垢でいながら限りなく深く・・・・。
「ああ、この人は死んでしまうんじゃないか」と思った。

それなのに、僕は、僕は・・・
どうして素直に駆け寄って、純ちゃんを支え、
一緒に、昔からの夢「改革」を果たすことができないんだろう。
党首だから？　議員や党員への責任感？
それとも・・・
「いいか、俺は自民党は絶対に許さない。
　許すとしたら、切り落とされたライオンの首だけだ」
暗い情念に燃え上がった管の目が怖いのか？
いや、違う。管さんじゃなくて僕だ。
自民党を離党して民主党を作った・・・僕のエゴだ。
僕は民主党も愛している。付いてきてくれる党員も議員も。
管だんだって、怖いけどやっぱり好きだよ。
一番好きなのは純ちゃんだけど、でもでもやっぱり・・・彼らも捨てられない。
僕には好きな人が多すぎるんだね。

純ちゃん、僕は・・・もう、ダメなのかな。
「本当は　あなたのもとに　鳩になって飛んでいきたかったのです」
そう書いた白い紙を紙飛行機にして窓から投げた。

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