「参院議員選挙の結果、与党圧勝、共産惨敗、
 民主は懸命に踏みとどまるも議席減。
 選挙前の鳩山党首の一貫しない言動が理由とも言われ、
 党内からは責任追及論が起こっている」
民主党幹事長室、管の机の上には、
そう書かれた複数の新聞が載っていた。

「管ちゃん、僕は党首を辞任して離党するよ」
前に立つぽっぽは妙にさっぱりした顔で宣言する。

「・・・で、純一郎のところに行くのか?」
「えっと、それはまだ決めていないんだけど。
 少しゆっくりして、色々考えてみたいなーって思ってる」
もちろんすぐにでも純一郎のところに行きたいのは管にも分かるが、
選挙のためにあれだけ攻撃したことへの自責の念があるらしい。
「相変わらず、おぼっちゃんだな」
イラ管はぽっぽを睨みつけた。
「俺はお前のそういうところが憎い」
管に叱られるのには慣れているぽっぽだが、これは何か様子が違う。
思わず一歩あとずさる。

しかし管は市民運動たたき上げの迫力で
身長180cmのぽっぽの手首をつかみ、ねじりあげる。
そのまま新聞が散乱する机の上に押し倒した。
「俺は、ずっと前から、お前を」耳元でささやくように
「めちゃくちゃにしてやりたかったんだ」
「や、やめてよ! 何するんだよ、管ちゃん!!」
管の下でもがくぽっぽ。
しかしその声が外に漏れることは決してない。
幹事長室の扉は分厚い。ドアの外での盗み聞きを防ぐためだ。

「僕たちは政治家だよ、暴力なんていけないよっ」
「こんな時にまだそんな事を言っているのか・・・」
「選挙のことは僕が悪かったよ、責任をとるよ」
「そんな問題じゃないんだ」
「だから離党もする。0からやり直す。
 民主党には愛着もあるけど・・・
 あとはよろしくね、大事にしてあげてね」
「ふっ。金持ちのおぼっちゃんにとっては政党はペットと同じか?」
管が何にいらついているのか少しわかって、ぽっぽはしゅんとした。
「ごめん。けど僕は政治家の家に生まれてしまった。
 それならばそれも一つの運命かと思ったんだ」
手首をつかんでいる力が少しゆるんだので、ぽっぽは喜んで言葉を継いだ。
「そう純ちゃんも言っていたんだ!」

ぷっちん。管の中で何かが切れた。

「純ちゃん純ちゃんって、おまえはそればっかりだな」
どうしてこんなにいらいらするのだろう。
管は怒りのため身体を震わせながらもう一度怒鳴った。
「そんなにあいつが好きなら、結婚でもしてもらえ!!」

「ぼ、僕と純ちゃんが結婚ー!!」
幹事長室の防音ドアも破る勢いでぽっぽは叫んだ。
管は思わず本音を出してしまったことにため息を付く。

だが、もう仕方ない。
管は政治家だった。決断は早い。
「いいか、俺は変節者は信用しない。
 次に行くところで失敗しても、民主党には戻れるなんて思うなよ」
皮肉なことに今の管の心情は、まさに娘を嫁に出す親に似ていた。

「い、いや、まだ行くと決めたわけでは・・・
 純ちゃんだって許してくれるかわかんないし・・・」
この期におよんでぐずぐず言うぽっぽ。
管はぽっぽを党首にすえて以来、何度目かわからないため息を付いた。
しかしこれももう最後だろう。
「小泉がおまえを拒むわけないだろ。
 行くならさっさと行け、今は一人でも味方が欲しい状況のはずだ」
「あ、ありがとう」
ぽっぽはもじもじしながらお礼を言った。
例によって目には涙が浮かんでいる。
「おれはもうお前のお守りにはこりごりしてたんだよ」
管はぽっぽから離れ背を向けた。
「やってみせろよ、改革」

「ね、ねぇ、こうなったら管ちゃんも一緒に・・・」
まったくどこまで呑気なんだ。小泉もこれから大変だな。
しかし、それがぽっぽを党首にした理由でもあった。
管にはけっしてない屈託のなさ、それもまた一つのカリスマである。
「俺は市民運動からたたき上げた、根っからの野党人間だ。
 一度大臣をやってよりそう思うようになった」
相変わらず背を向けたまま、厳しい口調で言った。
「俺は手加減なんかしない、与党は徹底的に追及してやる。
 ・・・今度会うときは敵だ」

管の政治家としての熱い決意を秘めた言葉に、
ぽっぽもいつしか男の顔になっていた。
「わかった。僕がんばるよ! もう、迷わない」
言った後すぐにドアを開けて駆けだしていく。

・・・行く手には、どんな新しいドラマがまっているのだろうか。
             〜ぽっぽ純愛編 第一部完(案1:幸せバージョン)

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