都議選は自民圧勝だった。
予想どおりとはいえ、一抹の不安があったのも事実だ。
共産党惨敗はさすがに計算外だったが、この際そんなことはどうでもよかった。
純一郎は疲れていた。
デスクに伏せたまま、身動きもできないほどだった。
このまま死んでしまうのではないかと本気で思った。

…コツン

聞き覚えのある、小さな音がした。窓ガラスに小石が当たった音だった。
まさか。
覚えず純一郎は立ち上がり、窓辺に走り寄った。
今まで動けずにいたのが嘘のようだった。
カーテンを開ける間ももどかしく、彼は窓の外に視線を投げた。
いつかの夜のように、そこにはぽっぽが立っていた。
最初は驚いた顔をしていたぽっぽだが、やがて笑った。
「純ちゃん…」
とても嬉しそうに、大事なその名前を呼んだ。

「おめでとう。圧勝だね。さすが純ちゃんだ…」
「君こそ、なかなかの活躍だったじゃないか」
あの日の党首討論以来、純一郎にとってぽっぽは敵なのか味方なのかすらわからなくなっていた。
色んなことが起きすぎたせいだ。
真紀子の訪米成功、外務委員会での鱸(仮名)と真紀子の見苦しいやりとり、
それに派生した真紀子の失態。
混乱していたのは純一郎も同じだった。
純一郎の冷ややかな様子にもかまわぬ様子で、ぽっぽは答えた。
「がんばったんだ。…あなたみたいにやりたかったけど、やっぱり…無理だね」
口では未練なことを言いながら、ぽっぽは満足そうだった。
調子を崩された純一郎は不意に優しい声になった。
「…こんなところで何をしてるんだ」
「なにって…あなたの顔が見たくなって」
「いつから」
「んー、30分ぐらいかな?時計もって来なかったから、よくわからない」
「30分?」
息を飲む。政治家にとって時間ほど貴重なものはない。特にこんな夜は。
「話があるならなぜ呼ばないんだ。窓の下にいたってどうにもならんだろう」
「だって、純ちゃん疲れてると思って」
小泉は図星をさされ、ムキになった。
「第一不用心じゃないか。記者にでも見られたらどうするんだ」
そんな可能性には思いも寄らなかったのか、ぽっぽはぱあっと赤くなった。
「あ…、そうだね。ごめんなさい」
消え入りそうな声でつぶやき、こちらを見上げる。小泉は慌てた。
「いや、謝らなくてもいいんだ」
こっちも支離滅裂だ。

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