ぽっぽがこのような思考回路を持っているとは、さすがの
純一郎も意外だった。
そして、自分でもわからない感情がよぎり、純一郎はいつもの孤独な
笑みを浮かべた。
「本当に宇宙人みたいなやつだな、ぽっぽは。でも、純粋に愛されると言うのも
たまには良いものだ!」
思わず純一郎がもらした独り言を、森善郎は嫉妬に狂った面持ちで
盗み聞きしていた。

ぽっぽ、ヤフーのチャットでのVサインは痛かったよ。

小泉は思わずそう書き込みそうになったが、kanteiのIPを抜かれると困るのでやめた。
「キミは、つくづく退屈しないヤツだ」
代わりにそうつぶやいた。意図せず、口元に笑みが浮かぶ。
なんとなく楽しい気分になっているのに気付いた。理由を追求しかけて、彼は長い指で髪をかきあげる。
そして一瞬だけ動きを止めた。

…まさか。
…まさか、そんなことがあるはずはない。

思いがけずたどりついた、ある可能性を彼は否定した。
疲れているのだ。
だからそんなことを考えてしまうのだ。
彼はそう思うことにした。
実際のところ彼は倒れそうなほど疲れていたのだ。
白い手袋。マイク。演説。SP。いろんなイメージが彼の中で交錯した。
指を伸ばし、マウスをクリックすると純一郎は回線を切った。

今日は街頭演説の日だった
久しぶりに汗を流したような気がする
家に帰り自室のベットに顔をうずめて思い出す

演説場所が同じといっても小泉とは時間がずれている
今日もまた彼と言葉を交わすことは出来ないだろう
疲れた身体を揺れる車内あずけ窓から外を見る
車内から見える日本は以上に活気付いていた・・・・自分の問題なんて他人任せのように
演説場所が目に入る
演説場所に近づく知れ自分の心は激しく葛藤を起こす
葛藤と言う言葉は不似合いだ・・・まるで始めて恋をしたような淡いときめきのような感情
果実酒のような甘酸っぱさ
外から聞きなれた声がする
純一郎だ・・・・
窓に近づき彼の姿を見上げた
そのとき小泉がこちらを見たような気がした
いや違う見ている。小泉は私の存在に気がついている
そして彼は笑みを浮かべた

私はまだ彼の愛を信じていいんだと心満ち溢れ
「たとえ党首の座を追われたとしても・・・・」そう心につぶやき念をした

カリスマ美容師の腕も信用できないな(藁

起き抜けに、民主党スレにそう書き込みしようとした小泉は、やはりkanteiのIPを抜かれたくなかったのでやめた。
プライベートのメールアドレスに、送り主の名前のないメールが届いていた。
「……」
一読の後、彼は軽く握ったこぶしを口許に持っていく。
これは無意識のくせだった。指に唇が触れている状態が心地よいのかもしれなかった。
彼はしばらくそのままでいた。
表情にはどこかうっとりとした色が見えたが、やがて何かを吹っ切るかのようにかぶりを降る。
「なにを言い出すんだ。不用心なことを…」
思わず口に出し、口に出したことに気付くと彼は言葉を切った。
「総理。お時間です」
秘書の声がした。
「今、行く」
答えながら純一郎は乱れた髪をなでつけた。そして、メールの送り主を思った。
今日もまた、熱い一日になる。

ぽっぽは悲しかった
ぽっぽは苦しかった

どうすれば・・・・
・・・・・いいのだろう

どうすれば・・・・・
・・・・・いいのだろう

ぽっぽの頭の中は混乱していた。
純一郎の笑顔が、浮かんでは消え、
消えては浮かんだ。
ぽっぽは思い出していた。
あの日、純一郎と二人で見た、あの海の、
海の青さを。

あの時、ぽっぽは初めて、自分の切ない胸の内をうち明けた。
「たとえ・・・・全世界を敵に回そうとも。
たとえ・・・・全人類が貴方の敵になったその瞬間でも。
ボクは・・・・純ちゃんを・・・・全力でもって・・・・・・
お守りする。全身全霊で・・・・
愛する・・・・・」と。

次の瞬間、ぽっぽの肩は、いきなり強く引き寄せられた。

すぐそこに、純一郎の瞳があった。
すぐそこに、純一郎の唇があった。
純一郎は微笑んでいた。

そして、純一郎は言った。
「す・・・」

その声はかすれていた。
ぽっぽはその言葉の続きを待った。


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