ぽっぽは嬉しかった。
こんな明るい場所で、純ちゃんと笑顔を交わせるなんて
本当にひさしぶりだったから。
フラッシュを浴びながら純ちゃんと握手。
ドキドキしちゃって、まともに顔も見れない。
「アメリカでは・・・宇宙人って・・・人気、あるのかな?」
ボソボソと呟くのが精一杯。
このまま、一緒に・・・アメリカまで?
無意識に口をついた言葉に、自分の本音を知る。
つないだ手を離したくないって、切ない気持ちはあるけど。
今はただ嬉しい。
堪えきれず笑みがこぼれるように、ポッポはキラキラとしていた。

すべての仕度を終えてようやく手にした夕刊の文字が一気に滲む。
ジャック・レモンが逝った。
終わってはならない何かが、終わってしまった気がする。
時が現実のみに覆いつくされるということ。
覚悟はしていたが、日々それが続いてみれば、もう世界が逆転しているかにみえる。
空虚であるはずのものが充足され、充足されているはずのものが空虚に映る。
それは死が近い徴であると伝える奥義書のあることを思い出す。
今夜のつぎに眠りにつくのは、
選ばれた者のなかでもとくに許された者のみが迎えられる場所である。
きっとそこは、いまの想いなど何もかも忘れさせてくれる空気に包まれているはずだ。
だが・・・・・・
かつてはこれを聴きながら死にたい、と思ったこともある、
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の甘美な旋律さえ、
純一郎の、ひりひりするばかりの寝苦しさを消し去ることはできなかった。

純一郎には別離があった。粋筋の女との火遊びではない。
誰もが知っているあの出来事…離婚と呼ばれるそれは、今も大きな痛手となって胸を苦しめる。
だから1人でいよう、1人がいいと思っていた。
けれど今、純一郎は無性にぬくもりがほしかった。
生きていることを実感したかった。
ものわかりのよい大人の女ではだめだ。
わがまま放題の若い娘でもなおさら無理だ。
無心に自分を求めてくれる、穏やかな心の持ち主こそふさわしい。
その人物に狂おしく名を呼ばれ、お互いを所有しあったなら。
その果てに、彼は今の呪縛から解き放たれる気がした。
(自殺あるいは、死・・・)
そんな言葉が脳裏をかすめる事が多くなった、と純一郎は思う。
(何を馬鹿なことを・・・)
打ち消してはみたものの、呟きはあまりにも無力だった。
戦い続ける日々。
安らぎのない日常。
濁流に押し流されながらも沈むまい、と必死にもがいている。
人肌が恋しい。
熱いものがこみ上げてくる。
この腕にそれをかき抱きたい。
それを望むのは罪なのだろうか?
今まで孤独に耐えてきた。
充分に耐えた、と思う。
それでもまだ、ひとりで生きよと、神は宣うのか?

ポッポはまだ余韻に浸っていた。昨日も今日もあの人に会えた。
そしてその手に触れる事ができた・・・。冷たい手、長い指・・・。
そしてあの人のやさしい笑顔。
あの人は民主党事務所の一室を出て行くとき、確かに言った。
「参院選後、また一緒にやろうな・・・!」
その言葉がポッポの頭を駆け巡る。そして幸せな気分にさせる。
「純ちゃん、これでもう貴方が明日からアメリカに行っても寂しくないよ。
孤独にだって耐えてみせるさ。」
ポッポの表情には力がみなぎっていた。

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