管は何気なくぽっぽに話しかけた。
「純ちゃんてさ結構着やせしてるんだよね」
驚愕するぽっぽ。どうして管がそんなことをしっているのだろう。
しかし、ぽっぽは管に確かめることができなかった。
答えを聞くのが怖かった・・・・

純一郎は目を閉じた。
管との目眩く夜が蘇る。
あの夜、純一郎はPホテル204号室に行ったのだった。

あの人に近づくためにはなんだってした。
厚生大臣にだってなった。
それなのに今、党首討論であの人に見つめられているのは・・・
「なぜ、おれは幹事長なんだ?」

あの夜、管は純一郎の襟を掴み、そう叫んだのだった。
なぜ、おれは幹事長なんだ?と。

あの夜の純一郎は激しかった。と、管は思う

あのメモを純一郎に渡したとき部屋番号は「201」だった。
しかし純一郎の目に触れたとき「204」と変わっていた・・・
すれ違う二人。
「総理。そろそろ官邸に・・」
秘書が声をかけた。
「ふられちゃったかなぁ」
純一郎は目を閉じて浅く笑った。

管があきらめて部屋を出たとき、フォーエバーラブ
が聞こえたような気がした。
「空耳か・・・」
201号室を通り過ぎ管はエレベーターへと向かった。

官邸に向かう車の中の純一郎に、塩川正十郎からの電話がかかってきた。
一瞬迷った純一郎だが、意を決してスイッチを押した。
「はい、塩川さん・・・」純一郎の声は、心なしか上ずっていた。
「ははは、最近はいつもワシに内緒でお留守やねえ、ま、若い人たちは
若い人たちの付き合いがあるやろ、しゃあないわ。でも、君に手取り足取り
教えてあげたのは他ならぬこのワシやいうことを忘れんといてや。
たまには老人サービスもしてくれや、ハッハッハ!」
そう言うと、塩川は、苛立ったときの癖である性急さで、突然電話を切った。
管は今夜も荒れていた。
部屋にあったグラスは、一つ残らず壊してしまった。
チッ。管は舌打ちをすると、ウィスキーをボトルごと飲み干した。

「年寄りのやきもちって見苦しいわね」
電話を切った塩川の背後から千景がいった。
「おまえさんにいわれとうないわ。あのときはあるけたんやろ。
よー立ち回ったな。ほっほっほ、腐っても女優ちゅうやつか?」
振り向きもせず塩川は行った。
千景は笑みを浮かべると壁に貼られた純一郎のポスターの方を向き、
印刷された純一郎の頬に触れた。
「そうよ女優だわ、そして女だわ。」
振り向いた塩川の顔は塩爺のそれではなかった。

ぽっぽはどうしようもなく不安だった。
昨日、街頭演説をした後、握手を求められた支持者に、
「ゆっきー、と呼んで下さい・・・・」
と小声で言ったのをマイクに拾われてしまった。
そしてついさっき、ニュースでその事を知ったのだった。
ぽっぽは怯えていた。
管は何というだろうか・・・・

管は苛立っていた。
ぽっぽのばか正直ぶりに。
傍目から見ても分かる純一郎への恋心に。
その一途さに。

そして、ぽっぽのように生きられない自分に苛立っていた。

ぽっぽの涙を拭く純一郎の細い指・・・
管にとってはつらい記憶だった。

ぽっぽは泣きながら、いつの間にか眠ってしまった。
ぽっぽは夢を見ていた。
愛しい純一郎と手を繋ぎ、どこまでも駈けてゆく・・・・

夢の中でぽっぽは微笑んでいた。
純一郎も微笑んでいた。
ぽっぽは幸福だった。

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