「サンドバックになれ。」
あの人はそう僕に命じた。
だけど・・・
伸晃は思う。
僕はすでにあなたのサンドバックです。昔から・・・

あの人は情熱家であり、激情家だ。
常人より遙かに熱い血が体の中に流れているのだ。
それは今も昔も全く変わってはいない。
そんなあなただから、僕は敢えてこの身を差し出したんだ。
ぼろぼろになるまで殴られてもいい、あなたになら。
昔からそう思ってきたし、覚悟はできています。

伸晃は書棚から一冊の本を抜くと、一見してなんの変哲もないように見える
その本のページを繰った。
ページの間からでてきたものは、古ぼけた一枚の便箋だった。
伸晃は几帳面にたたまれたそれを、慎重にゆっくりと開いた。


『柔肌の熱き血潮にふれもみで
寂しくないモン 君がいるから』
by純一郎 ^_^


純一郎さん、あなたは・・・・
あなたって人は・・・・
昔も今も言ってることもやってることも、本当に全く変わらない。
ほとんどワンパ・・・

伸晃はここまで考えると静かに本を閉じた。

「・・・寂しくないモン  君がいるから」
その歌が僕にとってどれ程嬉しかったことか!

が、次の日、天にも昇る喜びは一瞬にして落胆へと変わってしまった。
“明日を創る会”のメンバーであるミッチーJr.が同じ紙を持っているのを
僕は見てしまった。
彼は会議中、ずっとその紙を見てはウットリとため息を吐いていた。
そう、あれを貰ったのは僕だけじゃなかったんだ。
他にもあれを持っている人はたくさんいるみたいだった。
(もしや・・・!)
悪い予感は的中した。
よく見てみたらあの紙はコピーだった。
ショックだった。
僕は急いであの人を探し出し、問いつめた。
あの人は満面の笑顔でこう言った。
「おー、アレか!どう?いいでしょ、あの歌!自分でも会心の出来だと
思ってね、みんなにコピーして配ったんだ!」
無邪気に笑うあなたをぼんやりと見ながら、僕は敗北を認めた。
(無理だ。 あなたのその笑顔に、僕は勝てない・・・)
そして言った。
「俵万智さんに送られてみては?きっと良い評価をしてくださるのでは」
「おー、そうだな。気付かなかった。ありがとう!早速もう一枚コピーして送ろう!」
鼻歌まじりの上機嫌で行きかけたあなたは突然振り向き、僕を指さした。
「伸晃、男にとって一番大事なものはなんだかわかるか?」
「・・・・・」
「愛だよ、愛。愛なんだよな〜」
「そ〜れ〜も〜愛、これも愛!たぶん愛、きっと愛!ってね。
知らんよな、この歌。 古いなーオレも。あははー」
「・・・・・」

あなたの後ろ姿に向かって僕は呟いた。

愛ならあります。
溢れるほどのあなたへの愛なら・・・

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