「それにしても、ずいぶん警戒が厳重だったわね。私一人に四五十人は警備担当者がついたんじゃない？」
「それはそれだけ、外務大臣が重要人物だからですよ」
と、一緒にサンフランシスコに行った防衛庁長官が答えた。
「私はこれから東京に戻りますけど、長官は？」と外務大臣
「自分はこれからインドネシアと東チモールに参ります。」
「まあ、すみませんね。外回りさせてしまって。」
「いえいえ、外務大臣には、外務省の改革という大事なお仕事があるのですから」
と防衛庁長官。それに戦塵がまだのこる東チモールに、大切なマキコ大臣を行かせられようか。
自分ならば、防衛大で鍛えてるから、どうにでもなるけれど。

だが、数日後、防衛庁長官も急に帰国することになるとは、このとき思いも寄らないのであった。

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