真紀子は日本から遠く離れた異国の地、チェコで優雅に朝食をとっていた。
今頃日本は選挙で大騒ぎなのだろうなと思いつつ
「真紀子さんは外国に行って来たらいいよ」と
送り出してくれた総理の優しさが身に染みる。
その顔はわずかに引きつっていたようだが、真紀子は気にしなかった。
「地の底までも一緒よ・・・総理」
そこへ子飼いの石田大使が駆け込んでくる。
「真紀子大臣、昨夜の遅く(チェコ時間)、日本では
ハイヤー代詐取疑惑で外務省職員5人が逮捕されたようです」
「まあ、朝からいいニュースね」
真紀子はすでに今月末にもカワシーマたちを更迭することも心に決めている。
日本に帰ったら大掃除、今回の逮捕は総理からの前祝いかしら
なんでも自分の都合のいいように考える真紀子であった。
・・・そのころ日本では、強面の長官が
やはりいかつい部下たちを前に檄を飛ばしていた。
「貴様らが外国との警備、軍事交流の過程で手に入れた
外務省汚職情報はどんどん警察に流せッ。
防衛庁は断固真紀子さんを防衛するのだッ」
中谷防衛庁長官であった。
彼は、真紀子に恋をしていた。
強面の長官は、苦悩していた。大臣という立場上、某A大の先輩に命令しなくてはならないのだ。
「もしもし、あ、自分は大臣でありますが」
「おお、貴様、パラシュート訓練では震えていたではないか」
「お恥ずかしい限りです。ところで自分は日本を、そして総理を守りたいのであります!」
「ふむ、その心意気は自衛官としても立派である。それで何かな、長官?」
「はっ、現在の外務省汚職はあまりにもひどく、日本の国益を損なうものですッ。
先輩はアメリカ大使館にて駐在武官の経験があらせられたと思いますがッ、
そのとき、なにか見聞きなどなさりませんでしたかッ?」
真紀子さんのためだ、中谷は自分を叱咤激励して一気に言い終えた。
電話の相手はしばし沈黙する。
中谷の鼓動は高まった。
「・・・よいでしょう、長官。私は一線を退きましたが、今も部下が
外交官夫人の使いっ走りをさせられたと泣きついてきたところです」
「けしからんことでありますッ」
「時に長官・・・」
厳しい上官でもあった先輩は、「長官」という言葉と
一見丁寧な口調に、皮肉な響きを込めることに早くも成功していた。
「アナタは今、恋をなさっておられるとか?」
中谷は凍り付いた。
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