「これはあたしと総理の問題よ。そして、絶対に解決する問題でもあるんだわ。
だから、口出ししないでちょうだい」
そう、マキコはティカゲに高らかに宣言した。
そして…。
参院選圧勝。だがその後のマキコと総理の関係は悪化する一方だった。
そのはずだった。
が。
「総理は、あたしのとこと許してくださったわ。そして、ずぅーっと俺の外相でいてくれって頭を下げて頼んだのよ!」
ティカゲを前にして、久々に見る晴れやかな顔でマキコは勝ち誇ったように言い放った。
「その証拠に、ほら」
ひらりとあがった手指の向うから純一郎が現われた。自然な動きでマキコの隣りに立つと、その肩を抱く。
ティカゲは内心、悲鳴をあげた。
それでも必死の思いで動揺を押し殺し、引きつった笑顔のまま尋ねる。
「まあ総理、どうなさいましたの?随分、田中大臣と御親密のようですけれど」
「いやあ、外相がいかに俺にとって大事か、今度のことで思い知ったんだよ。
やっぱり、小泉内閣にはマキコさんが必要不可欠なんだよなあ」
はははっと純一郎は照れくさそうに笑った。その隣りでマキコが満面の笑みを浮かべる。二人と対照的にティカゲは青ざめた。
「そんな…あたくしだって総理を支える閣僚の一人ですのよ」
務めて冷静に、そしてかつて世の男性を魅了したはずの声音で抗議する。
だが純一郎は、ひどく酷薄に見える笑みを片頬に浮かべた。
「大臣、申し訳ないが、俺はぎりぎりで当選した弱小党首には興味がないんだよ」
ああ、やっぱり!
ここ2,3日の保守党のごたごたを、やはり総理はご不快に思ってらしたんだわ!
絶望に苛まれたティカゲの耳に、追い討ちをかけるようなマキコのだみ声が響いた。
「ほーほほほほほ。だから言ったでしょう!あたしと総理は一心同体。
やっぱりあたしが小泉内閣のファーストレディよ!」
「嘘よ…こんなの嘘だわ!」
ティカゲはこらえきれず悲鳴のような声をあげた。

「え…」
目を開けると、そこは見慣れた自分の部屋、ベッドの上だった。
「夢だったのね…」
ほっとため息をつき、ティカゲは外の明るさに眉をひそめた。
朝の到来だ。
ああ、今日も大嫌いな野田の顔を見なければならない。
ティカゲは憂鬱だった。今日も党内では議論が平行線を辿るのだろう。
ティカゲは野田の美しさのかけらもない顔が嫌いだった。
せめて海部がいてくれれば、とも思うがそれでもやはり、楽しさには程遠い。
「なんであたくしばかりが…。あたくしだって、総理のお顔を見たいわ」
小さく呟いて、ティカゲは急いで起き上がった。慎重に足を床に下ろしガウンを羽織ると、
いつものようにドアのところに置かれている朝刊を取り、トップ記事に目を走らせる。
悪夢のせいで真っ白になっていたティカゲの頬にかすかに赤みが戻った。
「ふふふ」
笑みが自然にこぼれる。
大手新聞の一面トップを飾っていたのは、マキコが純一郎の意に逆らったが結局果たせず、
外務省の官僚を更迭することにした、というもので、マキコの事実上の敗北を認めるものだった。
「まだまだ、負けなくてよ」
ティカゲは誰にともなく呟いて、今日も戦い抜く覚悟を誓った。

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