「JAPANの首相は、体が弱っているらしい。」
その情報に、強面の男たちは色めきたった。
先進国首脳会議―サミット開催国イタリア・ジェノバの地下組織。
男たちはその構成員だった。
「資料はあるのか?」
一人の男の問いに、ニ枚の写真がテーブルに投げ出された。
一枚は、しかるべき技術を用いて撮影されたポートレート。
もう一枚は、何か演説をしている風景を取ったスナップ写真。
どちらも同じ白髪交じりの男が写っていたが、相好は随分違っていた。
「こちらの方が最近のものです。」
節くれだった指が、スナップ写真の方を指した。
なるほど。ポートレートに比べ、顔色も悪く痩せている。
一同は黙って互いに目を見交す。やがて一人が口を開いた。
「ターゲットはこの男に・・・?」
異議はないように見えた。が、
「待て。」
一際風格のある男が、スナップ写真を手にとった。
射抜くような眼で写真を見つめる。
「リーダー、何か・・・?」
「見てみろ。」
リーダーと呼ばれた男は、テーブルの中央に写真を投げ出し、
タンッと音を立ててその一隅を指した。
「・・・この男が、ジェノバまでついて来ることはないのか?」
「それは・・・。」
情報を持ってきた男は口ごもった。
「こいつが側にいるなら、“仕事“は容易じゃないぞ。」
一同がざわついた。
しばらくして、リーダーの一言がざわめきを静めた。
「ターゲットは再検討だ。」
強面の男たちは、うなるような声をあげた。
「仕方がない。」というような空気だ。

スナップ写真の隅に映っていたのは、レスラーのような体をした、日に焼けた口ひげの男だった。


移動中の車内。微かに響く振動が心地良い眠気を誘う。
車窓に広がるローマの街並みがゆっくりと消えていき、目蓋の裏には純一郎の少年の様な微笑みが映った。
が、その顔は急に苦しみを浮かべた表情となり、後ろを向いてしまった。
(ああ、総理。ご免なさい。ご免なさい。私が至らないばっかりに・・・・・・
でも、どうして顔を見せてくれないの?やっぱり私じゃ駄目なの?総理、こっちを向いてよ)
ガタン、と大きく車体が揺れて眞紀子ははっと目を覚ました。
これからロシアのイワノフ外相と会談だという時に、何を考えているのだろう。
いけない。こんな事ではまたあの人に迷惑をかけてしまう。
そう思いながらも眞紀子の頭の中では、あの時扇千景が囁いた名前が再び色を灯し始めた。
ウラジーミル・プーチン。眞紀子には千景が何を言いたかったのかが、未だによくわからなかった。
(サミットか・・・・・・・恐ろしい所ね)
加速、減速を繰り返していた風景がゆっくりと速度を落とし、車が停まった。

その頃、ウラジーミル・プーチンは上等な黒い革張りの椅子に深く身を沈め、
一番上の机の引出しから束になった紙切れを取り出し、それを机の上に一枚一枚並べていた。
「・・・・・・・ジュンイチロウ」
自分で呟いたその名前の甘美な響きにプーチンは酔いしれ、顔を上気させた。
プーチンの目は初めて恋を知った少女のようにきらきらと輝きながらも、切なげな潤いをたたえていた。
やっと彼に逢えるのだ。
机の上という名の標本箱は、愛しい純一郎の写真でいっぱいになっていった。

鼻息も荒くブッシュはサミットに向けて荷支度をしていた
「ふふ〜んもうすぐジュンイチロウに会える」
ブッシュは日米首脳会談以来純一郎を忘れられずにいた
「日本人は小柄と聞いていたがあんなに小さいなんて・・・抱きしめたら壊れてしまうじゃないか」
寝ても冷めても彼のことを考えている、あまりの考えように「大統領、小泉首脳の訴えに京都議定書見直しか?」とニューヨーク・タイムズを飾り「大統領は京都議定書問題に興味を示したのか「もう少し日本の首脳と話したい。彼に関する資料を集めてくれないか?」と秘書の方に言われたみたいですよ」と議員談まで載っていた
机の上には彼に関する資料と写真がある
どこでこんなものを?と思わせるプライベートの写真まであった
彼は目に付いた一枚の写真を2枚に破き、一枚を投げ捨てた
そこには若き英国首脳が写っている
「ジュンイチロウは気が付いていなこの男のいやらしい眼差しを・・・・早く助けに行かないと・・・」

フランス大統領シラクは、側近を前に嘆いていた。
「今年の夏は日本の高級旅館で芸者さんとウハウーハ。
 純一郎と一緒に歌舞伎でも堪能しようかと思っていたのにぃ」
「大統領、今年ばかりは自粛しましょう。
 かわりに南仏のシャトーなんてどうです? ワインの試飲会でもしましょうよ」
こんなことになった理由は、自身の汚職疑惑である。
「でもそこには純一郎がいない・・・」
「よっぽど気に入っちゃったんですね」
側近は冷めた目で見ていた。
「まあ、その日本の首相にはサミットで会えばいいじゃないですか」
「おおっ、サミット。忘れていましーた」
側近の目はますます冷たくなっていた。
「・・・そんな目で見なくてもいいじゃないですか。ガンバリマース」
言うだけ言ってスタコラ大統領執務室を逃げ出すシラク。
もちろん足取りはスキップである。本人はこれが健康にいいと信じている、らしい。

フランスとは、そんな国であった。

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