ぽっぽ「純ちゃん、やっぱり、手熱いよ」
純たん「そうかなあ」
ぽっぽ「そうだよ。絶対、熱あるよ」
純たん「いや、でも、別にだるくもないし、いつも通りなんだけどな」
ぽっぽ「あるったら、ある!ちゃんと寝てなきゃダメだよっ」
純たん「……訪ねてきたの、そっちじゃなかったっけ」
ぽっぽ「ぎく。
…そうだけど…だ、だって、ほらっ、心配だったから…
だから…………。………やっぱり、純ちゃん、意地悪」
純たん「なんでそうなるんだよ」
あの「別れ」の日から、半年位経った。
こうしてこっそりぽっぽと会うのも、何回目だろう。
今の俺にとって、この時間は、とてもとても貴いひとときだ。
純たん「本当に大丈夫だって。前もこんな事あったけど、大丈夫だったろ」
ぽっぽ「……ほんと?ほんとに、大丈夫?
純たん「ほんとだって。
それに………体調の悪いのなんて、ぽっぽの笑ってる顔見ればすぐ吹っ飛んじゃうから。
…だから、そんな顔しないで、笑ってくれよ」
ぽっぽ「……ほんとに、ほんとに、ほんと?」
純たん「ほんとだよ。しつこいな」
ぽっぽ「…ほんとだね?
そこまで言うなら……信じるからねっ」
純たん「あ…」
ぽっぽ「ん?どうしたの、純ちゃん」
純たん「いや…やっとぽっぽが笑ってくれたから、嬉しくてさ」
ぽっぽ「なんだ、そんなこと」
純たん「…そんなこと、じゃないよ」
気がつくと、俺はぽっぽを抱きしめていた。
ぽっぽの笑顔が、あまりにも愛おしくて。
ぽっぽの存在が、あまりにも愛おしくて。
そして、あまりにも、切なくて。
ぽっぽ「じゅ、純ちゃん…?
…ちょっと、苦しいよっ…」
純たん「ごめん」
ぽっぽ「ごめんって、ねえ、……苦しいってば…」
純たん「もう、どこにも行かないでくれよな。
俺は絶対、ぽっぽを放したりしないから。
絶対に、絶対に、放したりしないから」
ぽっぽ「……何言ってるの、純ちゃん…
あたりまえ、でしょ?
ボクは絶対純ちゃんから離れたりしないよ」
その時、どこからか風が吹いた。
何かが、デスクの上からふわりと飛んで、窓の外にそのまま飛んでいった。
純たん「……!」
ぽっぽ「あれ、あの羽根…」
ぽっぽが拾おうとするより前に、ふたつめの風が吹いた。
羽根はそのまま風に攫われて、遠い空へ消えていった……。
ぽっぽ「純ちゃん。ねえ、純ちゃん」
純たん「……あ…」
我に返ると、ぽっぽがいつもと同じ、なにも考えてなさそうな顔で俺を見ていた。
ぽっぽ「羽根、飛んでっちゃったね。
いきなりだったから、最初、何が起きたのかと思ったよ」
純たん「なんで、そんなに冷静なんだよ。…ああ、これで2度目だ」
ぽっぽ「なんでって…なんで」
純たん「だってあれは、大切なもので……」
ぽっぽ「ボクよりも?」
純たん「そんなわけないだろ。一番大切なのはぽっぽだ」
げっ、何言ってるんだ…俺は。
違う、そういうんじゃなくて…いや、違わないけど…
だってあれは、大切な羽根で。
ぽっぽ「ならいいじゃない、羽根なんて。
…ボクが、ここにいるんだから!」
−−−ぽっぽシナリオ・END−−−
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