……
…今日も、空は冷たく、悲しい色をしていた。
風もどこか、寂しそうな音色を奏でている。
……あれからどのくらい経ったのかすらわからなかった。
参院選の結果は、もちろん自民圧勝。
支持率も少しは下がったけど、まだまだ高いほうだ。
改革は順調に進んでいっている。
だけど……
純たん「ぽっぽ……
やっぱり、君がいないと……
……本当に本気で頑張ることなんて、できないよ」
再び空を見上げた。
あの日の「別れ」が、頭にまとわりついて離れない。
…ふと、凍り付いたような世界を、ひとつの影が横切った。
鳩だった。
純たん「そういえば、ぽっぽのやつ……あんなこと言ってたな」
『純ちゃんのもとに、鳩になって、飛んでいきたかったんだよ……』
ひらり、と目の前に何かが落ちてきた。
…一枚の、鳩の羽根。
無意識に、俺の手はそれをつかまえた。なにか特別なもののような気がして。
なにか、とても大切なもののような気がして。
次の瞬間、突然強い風が吹いた。
羽根が手からすり抜けた。
羽根が、飛んでいってしまった……
純たん「…………ぽっぽ!!」
俺がしっかりつかまえていなかったせいで、消えてしまったぽっぽ。
俺がしっかりつかまえていなかったせいで、飛んでいってしまった羽根。
羽根をつかまえなければ。
羽根をずっと、つかまえていなければ。
もう、何も、失いたくない。
純たん「多分…こっちに飛んで…………」
羽根を探そうと、飛んでいった方向に、振り向いたそのとき……
ぽっぽ「はい、純ちゃん……羽根」
ぽっぽ「呼んだでしょう、ボクのこと」
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